木村 琢磨

2013年、初代RICOH THETAがこの世に産声を上げ写真表現の新時代が幕を開けた。
初代RICOH THETAから後継機種が出るたびに購入している一人としてZ1はまさに夢にまで見たスペックだ。
センサーサイズの大型化に伴う画質の進化は凄まじく、解像感の向上はもちろん360度全天球の宿命である輝度差をその大型センサーと新開発されたレンズが最大限まで表現してくれる。RICOH THETA Z1は全天球写真が記録としてではなく一つの作品として十分に表現できるところにまで進化した。1型センサーを2枚搭載しているにも関わらず小型ボディなのも素晴らしく、7.5mのロング一脚と組み合わせての撮影も従来のRICOH THETAと同じく相性が良い。高感度の画質も改善されており、天の川の撮影も容易となった。また、RAW記録も可能となったためより自分の思い通りの一枚に表現できるようになったことも嬉しい限りだ。
木村 琢磨(きむら たくま)

フリーランスフォト・ビデオグラファー。 1984年12月5日岡山生まれ。地元広告写真スタジオに12年勤めたのち2018年に独立。
地元岡山県を主な活動フィールドに写真という言葉にとらわれず絵画や映画のような作風でジャンルレスな作品を制作。最長12mのロング一脚を使った超ハイアングル撮影やドローンを使った空撮なども手がける。TVドラマの写真監修やドキュメンタリー番組の撮影、デジタルカメラマガジンにて『図解で分かる名所の撮り方』連載中。
https://www.takumakimura.com

高橋 真澄

THETAは楽しいカメラだ、Vから使用しているが旅行に行くときはいつも状況を撮影し後から楽しんでいる。今回Z1で撮影すると解像度感がさらにアップし操作性も上がりより俊足に撮影に入れた。RAWでの撮影ができるようになったので作品作りには強い味方になる。プラグインにより前後別々に撮影できることで写り込みがなくなったのは、とてもありがたく力になる。日常と違う異次元の感覚で景色を眺めると、通常の撮影にも刺激があり相乗効果で良い作品が作れそうだ。
高橋 真澄(たかはし ますみ)

1959年北海道生まれ。上富良野町在住。北海道の美瑛・富良野を中心に広大で清涼な自然風景を独自の感性で撮り続け、これまでに出版した写真集は70 冊以上。新しい写真集「WINTER JEWELS 大自然が創り出す冬の奇跡」が発売中。

前川 貴行

THETA Z1を手に、青森県下北半島にある尻屋崎を訪れた。この地に生きる寒立馬を撮影するためだ。以前、寒立馬の本を作ったことがあり、季節を問わず様々なシーンを紡いで物語を構築した。一眼レフカメラと異なるTHETAの魅力は、たったの1枚で移りゆく物語を表現できること。まるで写真と映画が融合しているような、不思議な世界が繰り広げられる。
前川 貴行(まえかわ たかゆき)

1969年、東京都生まれ。動物写真家。エンジニアとしてコンピューター関連会社に勤務した後、26歳の頃から独学で写真を始める。97年より動物写真家・田中光常氏の助手をつとめ、2000年よりフリーの動物写真家としての活動を開始。日本、北米、アフリカ、アジア、そして近年は中米、オセアニアにもそのフィールドを広げ、野生動物の生きる姿をテーマに撮影に取り組み、雑誌、写真集、写真展など、多くのメディアでその作品を発表している。2008年日本写真協会賞新人賞受賞。第一回日経ナショナルジオグラフィック写真賞グランプリ。公益社団法人日本写真家協会会員。
http://www.earthfinder.jp/

村田 一朗

THETAが大きくなってZ1としてかえってきた。それはもう、いろんな意味で。センサーサイズが大きくなったことに伴って、レンズも大型化され、ボディも大型化された。結論から言えば・・・センサーサイズの大型化は高感度に一番貢献していると言えるだろう。そして、それは星撮りにはまたとない恩恵を与えてくれた。
確かに前機種までのTHETAでも星や天の川は撮影可能だった。でもこのZ1と見比べてしまうとさすがにその差は大きいと言わざるを得ない。天の川は淡い光の集まりなので、Jpegのブロックノイズなど見比べると差が出てしまう。明らかに「写る」から「作品になる」になってきたと言える。こういう部分の差と言うのは撮影する上でのモチベーションの違いに結び付く。メモ的に写しておくのか?作品として発表できるようにちゃんと撮るのか?
そして一眼レフと違い、構図を考える必要が無いことも有り、ロケーション選びだけして撮影すればいい。そのため撮影がとても素早くできてしまうのもTHETAの魅力だし、天の川が端から端まで写しこめるのもTHETAならではだろう。
村田 一朗(むらた いちろう)

山岳写真家。1964年3月28日生まれ。東海大学海洋学部卒業後、某電機メーカー勤務を経てフリーとなる。デジタル黎明期より積極的に撮影を開始し、デジタルフォト2010年4月号にて山岳星景「無限軌道」を発表し、以後、星景の分野でも作品発表を開始した。ハード・ソフトの自作を得意としデジタルでしか表現できない作品の制作に力を注いでいる。K-5以降PENTAXを使い始め、現在はK-1MarkⅡにて作品制作を進めている。 写真集:「燕 Tubakuro」(モノクロ)、twitter:@murata_photo
ペンタックスリコーフォトスクール講師

岡嶋 和幸

自転車のカゴの中にRICOH THETA Z1を置いて、その周辺の様子を360度ぐるりと記録する試みです。タイトルは「Tokyo Bicycle」。自分が居る場所をただ広く収めるだけではもの足りなく感じたので、自転車に取り残された荷物のような視点で、2020年の東京の景色をカゴ越しに眺めてみました。
岡嶋 和幸(おかじま かずゆき)

1967年福岡市生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「ディングル」「風と土」のほか著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」「潮彩」「学校へ行こう!ミャンマー・インレー湖の子どもたち」「九十九里」「風と土」などがある。

谷角 靖

北米大陸の北の果て極地では白夜も終わり冬に向けてどんどん夜が長くなりオーロラが出始めるので北極海沿岸で撮影。海もまだ凍結していないので海面に映るオーロラとバックは夜中12時の夕焼け。Z1のf2.1という明るいレンズのおかげで海岸の石まで写すことができ、またISO1000でノイズも少なく露光時間も短く星を点で写すことができる。
谷角 靖(たにかど やすし)

大学卒業後企業経理部でサラリーマンをした後、1999年カナダへスキー修行へ行きそこでオーロラに魅了されフイルムカメラを始める。中判から大判カメラまで操り2003年よりデジタル写真の世界へ。オーロラに限らず登山、カヌーカヤック、船の操船、ドローンまで操り世界の絶景を撮影。現在カナダ極地ユーコン準州に拠点を置く。日本写真家協会会員。

織作 峰子

美しいビー玉を覗き見るように、大自然を丸い世界に閉じ込めました。
和歌山県に撮影地を決めたのは、映画『海難1890』で見た串本のダイナミックな景観がシータに似合う気がしたからだった。
これからも、コンパクトで持ち運びも楽なシータを楽しみたい。
織作 峰子(おりさく みねこ)

石川県出身。ミスユニバース任期中に写真家・大竹省二と出会い、翌1982年に大竹スタジオに入門。85-86年全国二科展入選。87年独立。89年から2年間、米国ボストンに暮らす。世界各国の美しい風景や人物の瞬間を撮り続けている。2018年写真展『織作峰子展-恒久と遷移の美を求めて-』を和光ホール・銀座にて開催。『ウイリアム・モリス展~デザインの奇跡』は只今全国各地の公立美術館を巡回中。世界各地で 写真展を開催する傍ら、テレビ出演や講演で幅広く活躍中。大阪芸術大学教授。写真学科学科長。日本広告写真家協会理事。日本写真芸術学会評議員。日本写真家協会会員。

SKYRABBIT

私は空の旅をTHETAで記録しています。空の上では複雑な撮影方法は好ましくなく、ボタン一つで空間を丸ごと記録してくれるTHETAはまさに革命でした。しかし作品撮りにおいては、画質が足らなかったり、光の明暗に弱かったりで、少し物足りなさを感じていました。
初めてZ1で撮影を行ったのは、日没時の空の上。これまでは明暗によるトーンジャンプが起きたり、強いフリンジが発生するような厳しいシーン。が、Z1は違いました。夕陽の橙色から月夜の紫の空への美しい光のグラデーションの世界をそのまま表現してくれたのです。THETAはZ1で記録だけでなく、表現できるカメラへと進化しています。
Fnボタンと液晶パネルが追加されたことで使い勝手が向上したのもいいです。特にセルフタイマーのON/OFFをボタン一つで切り替えれるのはとてもありがい機能です。VやSでは一度電源を落とさないといけないので、咄嗟の撮影には不向きでした。360°カメラは気軽にさっと使いたいですよね。
SKYRABBIT

パラグライダーに乗り空を旅しながら、その眼に映る世界をカメラに納める。ドローンや航空機による撮影は行わず、自ら空を飛び撮影を行うことで、臨場感溢れる空の感動をお届けする。
2016年に日本最高高度記録5075mを飛行。5000m超えの空を生身でflightした唯一人の日本人。